フランス屈指のクロスオーバー・レーベル「InFiné」の神髄に迫るコンピレーション。
ぜひチェックいただけますと。
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クラシック音楽とクラブ・カルチャー。フランスのレーベル「InFiné」が一見すると交わりのなさそうなふたつの要素をつなぎ合わせ始めたのは2006年のこと。これは後に「ニュー・クラシカル」と呼ばれるようになるスタイルの初期の基盤を築くもので、その「ニュー」は、単なる「ネオ」とは異なり、よりハイブリッドで未来志向の感覚を持っていました。
最初のカタログはフランチェスコ・トリスターノ。オルレアン国際ピアノ・コンクールでの優勝直後、トリスターノは、自身初の「非クラシック」アルバムの制作に乗り出します。トリスターノはまるで錬金術のように、オウテカ、パスカル・デュサパン、ジェフ・ミルズ、そして自身の要素を融合させ、ジャンルの垣根を超え多くの音楽ファンから喝さいを浴びました。
2008年10月にはInFinéはフィラルモニ・ド・パリで画期的な公演を敢行しました。デトロイト・テクノのアイコン、カール・クレイグが、フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮によるオーケストラ「レ・シエクル」と共演を果たしたのです。編曲はトリスターノが手がけ、ベルリンのダブ・テクノのパイオニア、モーリッツ・フォン・オズワルドも参加し、シンフォニックな力強さとマシンの鼓動との橋渡しをしました。
それ以来InFinéは、ピアニストのブルース・ブルベイカーやヴァネッサ・ワグナー、チェリストのガスパール・クラウス、パーカッショニストのルシー・アントゥネス、プロデューサーのローン、アランデル、ムルコフ、ラベル、そして最近では日本のKaitoなど、多彩なアーティストたちと共に、その稜線を歩み続けています。
設立からまもなく20年、InFinéは今なお、ルーツに忠実に、しかしながらひとところに留まることなく地理的・音楽的な「境界」に果敢にトライしながら瑞々しい姿勢を保ち続けています。境界の「その先」を目指す好奇心旺盛なリスナーたちに向けて、作品を届け続けております。