ナイル・ロジャースにも絶大な影響を及ぼし、ランDMCやビースティー・ボーイズがサンプリングしたことでも知られ、ラリー・レヴァン、ダニー・クリヴィット、ロン・ハーディーらもこよなく愛したフレンチ・ディスコの始祖セローンのカタログが仏名門ビコーズ・ミュージックから一挙再発されます。
ダフトパンクがまさかのディスコ回帰を果たし、ジョルジオ・モロダーが復活し、映画『エデン』が公開となり、いよいよここで真打の登場、という感じでしょうか。
ディミトリ・フロム・パリやボブ・サンクラー、ジャスティスもこの人なくしては存在しなかった!?トッド・テリエによるリエディットでもおなじみの「Hooked On You」や、ラ・ルーやゴシップもカバーした「Supernature」をはじめ、フランスが生んだ至高のディスコ・プロデューサーによる珠玉のガラージ/ダンス・クラシックスの数々がオリジナル・アルバムで鮮やかによみがえります。
今回再発されるのは次の5枚です。
"Love In C Minor (Cerrone I)" (BEC5161903)
"Cerrone's Paradise" (BEC5161905)
"Supernature (Cerrone III)" (BEC5161907)
"Cerrone IV - The Golden Touch" (BEC5156083)
"Cerrone VII - You Are The One" (BEC5156084)
発売元は全てフランスのBecause Music、ボーナストラック無し、オリジナル盤どおりの曲目曲順でのストレート・リイシューになります。
1st "Love In C Minor (Cerrone I)" (Because Music / BEC5161903)
フレンチタッチ・ムーヴメントにも大きな影響を及ぼし、70年代後半のディスコ全盛期にジョルジオ・モロダーと並ぶヨーロッパの二大巨頭に君臨したフランスのプロデューサー、セローン、その記念すべき1976年発売のデビュー・アルバム。
表題曲「Love In C Minor」は、ダニー・クリヴィットのエディットやディミトリ・フロム・パリによるリミックスがこの春フロアを席巻したのも記憶に新しい。かつてアヴァランチズも名作『Since I Left You』で大々的にサンプリング。多くのクラブ系プロデューサーやDJ諸氏がいまだ使い倒しているクラシックス。
ジョニー・アリデイによるロックンロール・カバーでもおなじみの「Black Is Black」はオリジナルのワイルドなロック・モードを劇的改変、コースアウト必至の疾走感を持った「Love In C Minor」にも負けない強力なディスコ・ボムに仕立て上げられている。
高揚感のあるストリングスとホーンの装飾、煌びやかなシンセサイザー、メロウでセクシーなサックス・ソロ、ストロングなキックとこぎみよいパーカッション、そのすべてが恐ろしいほどにパーフェクト。全曲炎上確実、オリジナル発売から40年を経ていまなお多くのDJに愛され続ける真のクラシックス。
2nd "Cerrone's Paradise" (Because Music / BEC5161905)
かつて多くのハウスDJをジャケ買いに走らせたいかにもおフランスな77年発売セカンド・アルバム。アメリカ盤は別ジャケ差し替えでしたが、もちろん今回はオリジナル・ジャケを使用しての再発。
タイトル曲「Cerrone's Paradise」はジョーイ・ネグロがリミックスして2000年代にリバイバル・ヒットした。揺らぐエレピと歪むギター、鉄板のストリングス&ホーン・アレンジ、圧倒的なドライヴ感をもった強力なリズム隊、またまた全てがパーフェクト。まさに「アート・オヴ・ディスコ」としか形容しようのない芸術的なダンス・グルーヴを創り上げている。
BPM120ちょい手前、寸止めジワジワで抑制をきかせながらも確実にフロアをピークへと導く「Take Me」、メロウな微熱エレピに骨までとろける絶品スロウ・ナンバー「Time for Love」も悶絶。アップだけでなく全方位対応なセローンのプロダクション・スキルをまざまざと見せつけた入魂の一枚。
3rd "Supernature (Cerrone III)" (Because Music / BEC5161907)
1977年発売の第三作『Supernature』は世界中でミリオン・セールスを記録、セローンの名前、そしてディスコ・ミュージックのプロダクションを全世界へと知らしめた全音楽ファン必聴の大名盤。
USダンスチャート1位、UKシングルチャートでも8位を記録したタイトル曲の「Supernature」はかつてはイレイジャー、最近ではエレクトロポップの歌姫ラ・ルーもカバーし、2015年にはアメリカのインディ・ダンス・バンド、ゴシップのベス・ディットーのボーカルをフィーチャーしたセルフカバーも登場。古典的なストリングスは影を潜め、シンセサイザーを全面に打ち出したフューチャリスティックなアレンジで、ドナ・サマー「I Feel Love」(こちらも77年)と共にディスコのひな型を作り上げた。
飛び道具的なドラム・インスト「Sweet Drums」や放火魔アーソニスツもサンプリングしたコズミックな「in The Smoke」あたりの変化具合も絶妙。ボブ・サンクラーやフランキー・ナックルズがリミックスした王道ディスコの「Give Me Love」や「Love Is The Answer」のリズムも「Supernature」に負けず劣らずストロング。突出したダンス曲の合間に玄人ウケするイタロ/コズミック的なアンダーグラウンド・マナーをコッソリ忍ばせた、単曲だけであくアルバム・トータルで楽しむことのできる作品。
4th "Cerrone IV - The Golden Touch" (Because Music / BEC5156083)
『Supernature』のヒットを受け翌78年にリリースされた第四作。
「Look For Love」はダフトパンクのギ=マニュエルによる別働ハウス部隊「ル・ナイト・クラブ」もサンプリング、後にそれを追うようにボブ・サンクラー(いったいこの人はどれだけセローン好きなのか!)も「I Feel For You」で引用、ボブはこの曲のビッグ・ヒット(UKシングル・チャート9位)で世界的な名声を獲得した。
他にも、アーマッド・ヴァン・ヘルデンがリミックスした「Je suis Musique」、ビースティー・ボーイズやLLクールJも「抜いた」おなじみのBボーイ・クラシックス「Rocket In The Pocket」、DJハーヴィーもたびたびスピンしているメロウ・ボッサ・ディスコ「Music Of Life」などなど、これまた全曲スバラシイ!
7th "Cerrone VII - You Are The One" (Because Music / BEC5156084)
ジョセリン・ブラウンを全編でボーカルに迎えた1980年リリースの第七作。
オープニング・ナンバーの「Hooked On You」はトッド・テリエやコン(&アミール)のリエディットや、MURO氏の『SUPER DISCO BREAKS』収録でもおなじみ。
GRPからのリリースで知られるエディ・ダニエルズによるアーバン炸裂のサックス・ソロもデリシャスな「My Look」、ファンキーなギター・カッティングをまとったミラクル・ブギー「You Are The One」、ガラージ・クラシックスとしておなじみの「Cherry Tree」やいかにもこの時代らしいゴージャスなブラス使いの「Took Me So Long」まで、多幸感とエモーション、ソリッドなリズムが渦巻くキラー・チューンを満載した、ポップなディスコ・レコードの見本のような作品。
ハウス以降のビッグネームも皆さまこぞってリミックス!
↓↓ こちらはディミトル・フロム・パリ
↓↓ ジョーイ・ネグロ
↓↓ フランキー・ナックルズ