2012-11-12

【リリース情報】 アフマド・ザヒール/The King of 70s Afghan Pop! (70年代アフガン・ポップの王様)




ファインダーズキーパーズ・ファンも要チェック、中近東や西アジアに特化した新興再発レーベルファラウェイ・サウンズ(PHARAWAY SOUNDS)から、1970年代にアフガニスタンの「キング・オブ・ポップ」と言われた国民的歌手、アフマド・ザヒールの偉業を二枚に纏め上げた究極のコレクションが登場。


白昼夢のようなサイケデリアを湛えたギターやシタール、アコーディオンなどのウワモノ、後を引くタブラや様々なビート、独特の寂寥を掻き立てる魅惑のテナーに突如湧き上がる怪電波やユニークなエフェクト、異音が炸裂、ディガー耳で聞いても本当に面白いユニークなサウンドを満載したナイス・コンピ!


アフマド・ザヒール/70年代アフガン・ポップの王様

Ahmad Zahir: The King of 70s Afghan Pop!
Pharaway Sounds / ritmo calentito (RTMCD-1036)

CD1
1. Agar ze khaliq malaamat
2. Ahange zindegi
3. Az dozdida chashmaz ahoo
4. Az nazo che maykhande
5. Baduhait konam
6. Begzar begreyan
7. Begzaro ta begeeryam
8. Behooda am
9. Beya borimba sangeran
10. Che khoosh amadi safaakardi
11. Dil ze sowda
12. Awshiq shudee aye dil

CD2
1. Duzdi eshqam
2. Aasiman begoyed
3. Kai bashad kai
4. Nay nay hargez
5. Paro baalam shekasta
6. Beeman aye shab
7. Shaady kunaid aye dostan
8. Shabhaye roshan
9. Tu barayem moqadasi
10. Tura afsoon chashmaanam
11. Ay bote be rahm
12. Sarwe kheraman





▼ 西にイラン、北にタジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンで、国の東端は中華人民共和国にも接する、南アジアと中央アジア、西アジアと東アジアを結ぶ、まさにアジアの「へそ」とでもいうべきアフガニスタン。ソ連の介入、アフガニスタン紛争からタリバンまで、長く政情不安が続くこの国に、1970年代のわずかな期間で、20枚にも及ぶアルバムと、200以上もの自作曲を残し、同地のポップ音楽の「キング」と謳われたとてつもないタレントが存在していたことを、ご存じだろうか。


▼ 彼の名前はアフマド・ザヒール。1946年生まれ、父は王政時代に首相にまでなったエリート一家、自身も教育大学の出身でありながら、学生時代より音楽において突出した才能を見せ、そのまま歌手の道を選択、その魅惑のテナー・ボイスと、人々の心を掴む郷愁のメロディー、西洋世界ともリンクした同時代性を感じさせるポップ・ソングで、一躍スターダムへと駆け上がったアーティストだ。


▼ アフマドは、王政崩壊後のクーデターや社会主義政権の誕生、ソビエト連邦の介入などなどによる政情の不安化を憂い、幾度となく社会的、政治的メッセージを発し、ときには歌にのせ、結果、1979年、ときの政府の謀略により暗殺され、わずか33歳でこの世を去る。


▼ 彼が生前に残したアルバムは20枚近くにも及び、そこには毎回、12から16もの自作曲が収録されていたという。トータル200曲以上になる膨大なレパートリーの中から、PHARAWAY SOUNDSは、24曲を厳選して、二枚組コンピレーションとして、作品化。


▼ ディスク1の聞きどころは、目もくらむような妖艶な弦の響きで即座にココロ奪われる、女性歌手ハンガメのボーカルをフィーチャーしたM①「Agar Ze Khaliq Malaamat」、常軌を逸したリズム・セクションのエフェクトがアシッド感覚を加速させるM⑨「Beya Borim Ba Sangeran」、モノ悲しいアコーディオンの響きと口笛が独自の郷愁を作り上げるM⑦「Begzaro Ta Begeeryam」、カレー欲を掻き立てるスパイシーなM⑪「Dil Ze Sowda」などなど。伝統的な楽器やリズムと西洋ポップ音楽の新しいマナー、手法がぶつかり合った、マージナルかつソウルはユニバーサルという、独自のサイケデリック・ポップ・ミュージックを、聞くことができます。


▼ ディスク2においても、時代劇の主題歌バリのメロディーに泣きの口笛が重なるM⑩「Tura Afsoon Chashmaanam」やアナログシンセ風の怪電波がスパークしまくる編拍子チューンのM③「Kai Bashad Kai」を筆頭に、レアグル~ディガー耳で聞いてもバッチリ面白い辺境ファンク&サイケデリアをテンコ盛り!


▼ よくよく聞いてみると、妙なパートにディレイやリバーブがかけられていたり、突然異音やエフェクトが挟み込まれていたり、遊んでるのかキメてるのか、何とも不可思議な音づくりでメチャメチャ面白い!「ポップの王様」といいつつも、ディテールはかなりプログレッシヴで、攻めてます。聞きこむほどに新しい発見もあり、これはドツボにハマること間違いナシです!